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あの人が、本気でビジネスに目覚めたら?【No.013・桃太郎/桃太郎編】

 ■ペットフード業界に新風を巻き起こすピーチボーイズ(代表・桃太郎)

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※写真はイメージです。

 ペットフード業界は、住環境の変化や単身世帯の増加などにより、犬の頭数減少が顕著となる一方、ペットの「家族化」「健康志向」に配慮した高単価のプレミアム商品が支持を集め、市場規模はむしろ上昇傾向にあるという。そんなペットフード業界において、画期的な商品で新風を巻き起こしているのが株式会社ピーチボーイズ(代表・桃太郎)だ。

 

 同社の桃太郎社長は、不遇な幼少時代を過ごしながら、それをバネに大きな成功を掴んだ立志伝中の人だ。

 

 誕生して間もなく巨大な桃の中に押し込められ、川に流されるという虐待を受けた桃太郎氏。その後、血縁のない高齢夫婦に拾われて養育を施されるものの、ほぼ自給自足の生活は、決して裕福と言えるものではなかった。

 

 それでも養父母の愛情を一身に受けた桃太郎氏は一獲千金を夢見て冒険家の道へと進み、それまで誰も成し得なかった孤島「鬼ヶ島」での鬼退治という偉業を達成し、莫大な富を得ることに成功した。

 

 桃太郎氏の立身出世伝は数多くの出版社で書籍化され、アニメやゲーム、音楽など幅広いメディアに展開されている。さらに最近は、桃太郎氏自身がケータイキャリアのauのテレビCMに出演。小さな子供から高齢者まで、日本国内に知らない人はいないほどの抜群の知名度を誇る。

 

■冒険家を引退し、大ヒット商品「きびだんご」を開発・販売

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※写真はイメージです。

 冒険家を引退した桃太郎氏は、養父母が手作りする「きびだんご」に着目。冒険家時代、道中を手助けするスタッフとしてイヌ、キジ、サルを同行させる際、報酬として差し出したきびだんごを食べると従順になったことから、これをペットフードとして販売することを思いつく。

 

 養父母からきびだんごのレシピを伝授されると、イヌ、キジ、サルと共に量産化に着手し、「お腰につけたきびだんご」の商品名で販売。「も~もたろさん、ももたろさん♪」というキャッチーなCMソングで一気に知名度を高め、爆発的なヒットを記録することとなった。

 

 同商品の最大の特長は、これを食べればどんなペットでもすぐに懐くことだ。とりわけイヌやサル、キジには効果てきめんで、その他のペットや野鳥などにも効くという。飼い主の虐待などによって人間不信に陥ったペットでもすぐに懐くことから、「保護されて行き場のないペットたちの救いになるのでは」と期待を寄せる関係者も少なくない。まさに桃太郎氏は、ペット業界を救う英雄といったところだろうか。

 

 ただ、宅配ビジネスで急成長を続ける野比株式会社(代表・野比のび太/※注1)も「桃太郎印のきびだんご」という名称のペットフードを取り扱うなど類似品が横行。同社では今後、当該企業を相手に訴訟を起こす構えを示しているが、すでに普通名詞化しているきびだんごの商標権を主張するのは難しく、また全く製法も異なることから「特許侵害にも当たらないだろう」と専門家は見る。もしも泥沼の法廷闘争に発展するようなことがあれば、これまで築き上げてきたブランドを棄損する危険性もはらんでいる。

 

■盗難品である金品の着服、さらには強盗殺人の疑惑も

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※写真はイメージです。

 さらに問題なのは、桃太郎氏が同社設立時に使用した「黒い資金」である。設立資金の大半は、桃太郎氏が少年時代、鬼退治で得た財宝が原資となっている。桃太郎氏は特定の企業・個人から依頼を受けて鬼退治を行ったわけではなく、あくまで自主的に発案したもの。となれば、この時に得た財宝は、鬼が窃盗や強盗によって得た盗難品と考えるのが妥当だろう。桃太郎氏がこれらの財宝を、盗難品を知りながら持ち主の了解を得ずに着服していたとすれば大問題だ。

 

 加えて、桃太郎氏の幼少期を描いた書籍『桃太郎』によると、鬼を殺害したと類推される記述が多くみられる。この鬼が、仮に病気などによって人間から変化したものだとすれば、法律上は人間とみなされるはずだ。そうなれば、桃太郎氏が善意で行った「鬼退治」は、強盗殺人に該当する可能性が極めて高い。

 

 桃太郎氏の活躍を描いた最近の書籍では、鬼を殺したとみられる表現を避け、「仲良くなった」といった記述に変更されているものが多く、「過去の犯罪が明るみに出るのを防ぐための火消しなのでは?」と犯罪学の専門家は分析する。

 

 少年法が適用される年齢であることから、罪に問われる可能性は低いと言えるが、経営者が強盗殺人事件の主犯だったとなれば、ペットフード業界を大きく揺るがす一大スキャンダルに発展することは避けられそうにない。

 

 そもそも鬼とは何者だったのか。なぜあの時、自らが持つきびだんごを食べさせ、鬼を手なずけなかったのか――。桃太郎氏の今後の発言に注目が集まっている。

 

※注1

kusobusiness.hatenablog.com

 

※この記事はフィクションです。

 

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